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技術系与太話ブログ

Kindle WhitePaper 3GとKindle Fire HDを2台持ちするということ

Kindle WhitePaper 3GとKindle Fire HD両方買っちゃいましたー。わーい。

Kindle Paperwhite 3G

Kindle Paperwhite 3G


Kindle Fire HD 16GB タブレット

Kindle Fire HD 16GB タブレット


Fire HDは16G。WhitePaperは3G版。


先に結論から。
エコシステムは素晴らしい。けどデバイスのクオリティはかなり低い。

・素晴らしいエコシステム
これほどまでにシームレスなクラウドサービスがかつて有っただろうか、いやない。(反語)
まぁ、DropBoxやらGoogle Driveやらはあるのでクラウドサービスももう目新しくないんですが。

ただ段違いでシームレス。特にKindle Fire HD。
書籍の購入は基本的にPC(Amazon.co.jp)から行なっているわけですが、本当に1分以内に配信されてます。
ここで書籍(や各種データ)の管理もできちゃいます。
その際に一切デバイスに触れていなくても良いというのが凄い。

なぜこれほどシームレスなのかというとOSレベルでクラウドサービス埋め込んでるから。
どうしてもアプリ連携云々になると1段レイヤーを噛んでしまいがち。
Kindleクラウドサービスは現在書籍、アプリ、ドキュメント、音楽、ビデオ、写真に対応中。というか基本的なデータほとんどに。

更にAmazonから配信された全データはクラウドストレージとデバイスストレージ両方に保存される。
この徹底したデータ主義のお陰でデバイスの進化に依存しないエコシステムを築けている。
だからデバイスは糞だけどこれからもうちょっとマシにしていくからちょっとだけ我慢してね、と。


・糞のようなデバイス
さて、徹底したシームレスクラウドサービスの構築に躍起になっていたAmazonさんはおそらくデバイスに割くリソースが残ってなかったのではないか。
それくらいデバイス単体の出来はひどい。

まず、Fire HDではアプリのみデバイスストレージ、クラウドストレージのデータをデバイスから管理できるが、
それ以外のデータ(例えば書籍)はデバイスストレージのデータのみ管理可能。
つまり、デバイスからクラウドストレージのデータを削除することができない。
ただ、「1つのデバイスが勝手にクラウドストレージをいじることが危険だと判断したんじゃない?」という中央集権的な疑問はあるかもしれない。
じゃあなんのためにFire HDはあれほど(電子書籍端末としては役不足なまでに)高機能なんですかね?
色々と中途半端。

また、個人的に最大に不満なのがタッチ制限機能がないこと。
読書していれば無意識に読んでいる場所をなぞったり、関係ない場所を指で擦ったりしません?・・あれ、しません?
兎にも角にもする派の僕にはフラストレーションがたまるたまる。
次へ、戻るボタンもソフトウェアボタン。メニュー出現ボタンもソフトウェアボタン。
なるべく変なことしないように肩を上げビクビク怯えながら本を読む毎日。(誇張表現)
なんのために専門デバイス化したんですかね。これならAndroidタブレット買って読むのと変わらないじゃない。

そして一番意味不明なのが書籍がフラット構造で保存されるということ。
つまり、小説だろうと漫画だろうと技術書だろうとなんだろうと一切合切平等に一直線にリスト上にぶわーっと。
Amazonには(もっと言うとKindleデバイス開発チームには)読書家がいないんでしょうね。
どうせ本を読むって月1,2冊なんでしょ?(いや、1,2冊でもフラット構造は困りますが)
年100冊以上読むのにフラット構造とかどうするんでしょうね。毎回検索かけるんですかね。電子書籍デバイスって何?


Kindle White Paper 3G
しかしやっぱりKindle。E-Inkはめちゃくちゃ読みやすい。
もちろん本とどっちが読みやすいかと聞かれれば全力で本ですが、その質問が成り立つレベルには読みやすい。

あとは物理ボタンでスリープボタンがあるんですが、これが結構便利。
スリープするとこんな感じのオサレ待機画面が出ます。

(http://qos.mine.nu/wordpress/2012/11/kindle-paperwhite%E8%B3%BC%E5%85%A5.html より引用)
そしてスリープボタンをもう一度押すと復帰します。
復帰するとスリープする前の状態へ復帰するので本を読んでいてスリープするとかなり便利。

あとは何と言っても3G。
いや、別に屋外でもどこでもストアに繋いで本買えるぜヒャッハーという話ではなく、クラウドストレージにいつでもアクセスできるということ。
WhitePaperはストレージが2Gしかないので自炊リーダーとしては殆どナシだと思います。
ただ書籍用Amazonクラウドストレージをいつでもどこでも無制限に使えると言うことは家の本棚を毎日背負って歩ける事と同義です。

はい、WhitePaperの良い所終了。これからは愚痴です。

まず何と言っても遅い。もっさりってレベルじゃない。
なんだろう、20年くらい前のPCを想像すればいいんじゃないですかね。
遅すぎてタッチが入力できたのか出来ないのかがわからない。リアクションが返って来るのも途方もなく遅い。
次のページヘ行くのも遅い。前のページヘ戻るのも遅い。
ストアに繋げようものなら遅すぎて遅すぎてPC立ち上げたほうが早いレベル。
ただ、1つ擁護しておくならば、小説読むにはそれほど気になりません。
読むのに時間のかかる書籍ならばある程度の遅い処理は許容できますが、
さっさと読みたい書籍(漫画とか)は遅すぎて前のページの内容忘れるレベル。死ぬほど向いてません。

そして先述した通り書籍はフラット構造で保存されます。
遅いから探すのしんどいです。図書館で本を探すくらいに面倒です。あれ、何のための電子書籍

そう、とにかくKindleで本を読むと疲れます。肩がこります。ぐったりです。


Kindle Fire HD
さて、PaperWhiteよりはハイスペックだけどNexus7よりは出来ることが少ないFire HDくん。
僕はPaperWhiteを小説用に、Fire HDを漫画用に買いました。
僕個人は満足してますが、もしFire HDを電子書籍以上のものとして購入するのであれば(少なくとも現状では)おすすめできません。

さて、まずは良い所。

何と言ってもサクサクうご・・・んー、若干引っかかりは感じますし、
サクサクとまでは行きませんが、まぁ許容範囲かなくらいの動きをしてくれます。

あと、音は良いです。無駄に。いや、Fire HDで音楽なんて聞かないんでよくわかんないです。

そしてPaperWhiteとは違いFire HDはデバイスストレージが16G(または32G)もあります。
これは何が嬉しいのかというと自炊書をある程度確保できるスペースがあるということ。
つまりAmazonさんサイドとしては本→自炊→Kindleストアという段階的移行を促しているんだなーと。
・・・・じゃあPaperWhiteも大容量版出してよと思わなくも無いですが。
ただ比較的容量の大きい漫画に向いているデバイスのFire HDが大容量というのは嬉しいですね。

そしてなんといってもシームレスクラウド。
PCでAmazonからお目当ての書籍を探し、あとはOne-Click配信。

また高解像度なので漫画向きです。

はい、悪いところ。

まず、何と言っても充電。
8時間しか持ちません。まぁそれはいいんですが、付属のUSB給電だと充電しながら使用すると、
使用消費電力が給電電力に勝ってしまい、充電できない感じになっております。
で、MAX充電まで12時間かかるとのこと。
ちなみに別売りのPowerFastとやらを買うと急速充電できるらしいです。AKOGI。

Amazon Kindle PowerFast急速充電器 (端末には付属していません)

Amazon Kindle PowerFast急速充電器 (端末には付属していません)

あと重い。めちゃくちゃ重い。そして大きい。
重量感や大きさは個人差のあるものなので一概には言えませんが、僕にはとてもじゃないですが片手では持てませんでした。
ジェフ・ベゾスCEOがFire HDを軽々片手で持ち上げている写真等を見るとやはり海外向けデバイスなのかなーという気がしなくも。

あと、これは賛否両論なのですが、Fire HDは他のタブレットとは違い、上下左右に縁(画面ではない部分)がかなり広い。
これは電子書籍を読むものなので自分の手で画面が隠れることを危惧しての配慮かなと思うわけですが、
だとしたらそこでタッチできるようにし、次へ行く、前へ戻るように出来なければ意味が無い。
縁があるにもかかわらず結局は次のページに行くとなると画面を触ってスワイプさせるんだからまるで意味が無い。
むしろ漫画等スワイプ頻度が高い書籍の場合画面までの距離が遠くなるのだから逆効果じゃねーかと。

そしてAmazon特有の余計なおせっかいとして、最近使ったアプリがタブレットのホーム部分に出現します。
ただ、昨日Androidアプリの「ブラックジャックによろしく」を読んでいると、あれ、下の方に広告出るんですよね。
そしてスマホ系の広告って何故かアダルトなものが多いんですよね。
何故かその広告の画面がホーム部分に残ってました。
あれかな、間違ってタッチしてしまい、ブラウザで開いてしまったとかがあったんですかね。覚えてないけども。
しかもどストレートでアダルト広告でした。
んー、これはKindleだけの問題ではないにしても使用者の感想としてはひどいとしか言いようがない。

そして最後に、アプリ少ないです。何あるのレベルで何もないです。
まー、これから増えるんじゃないですかねー。
なので今アプリ目的にFire HD買う意味無いです。
電子書籍に移行したい人が漫画を読むためのデバイス。それ以上でもそれ以下でもないかなーと。

・Send to Kindle
Send to KindleはサクサクっとドキュメントをKindleに送るためのアプリ。
僕はChromeアプリのSend to Kindleを使ってます。
なので朝や夜PCから面白そうなページを探し、Kindleに送り、通勤通学中にそれをKindleで読むとか言った感じで使うと便利じゃないのかなーと。
ただこれは僕がスマホを諸事情で押入れの奥底に封印してるという特殊な人間なので、
普通はスマホで見れるから特に問題ないんですかね。
ちなみに技術系のドキュメントとかを送っとくと幸せになれます。


Google Play
これは蛇足ですが、興味半分でKindle Fire HDをroot化してGoogle Playを入れてみました。
結論としては入りました。これで(動かないアプリもいくつかあるそうですが)Kindle特化型Androidタブレットの完成です。
とは言っても入れてるアプリ2chビュワーくらいですけどもね。


・つまり
Kindle PaperWhiteは小説向け。容量少ないからいつでもクラウドと通信できる3G版が良いよ。

Kindle Fire HDは漫画向け。容量は自分が自炊をしまくるかどうかで判断すれば良いよ。
奥の手としてroot化してGooglePlay入れてAndroidタブレット化することも出来るよ。

技術書は特化デバイスがまだないよ。Fire HDが現実解な気もするけどFire HDは字を読むのに適してないから目が疲れるよ。


電子書籍
ちなみに、「電子書籍と紙の本ってやっぱり紙の方が読みやすいんでしょ?」とかいう声も。
そりゃそうだ。電子書籍が実用的に使えるのなんてまだまだ先の話。
今は車で言えばガソリン車が流行る前に水素とか実験的に入れて爆発しまくってた時代のようなもの。

じゃあなんで電子書籍に移行するのかというと単純に本棚に本が入らなくなっているから。
今、僕の横には1段置きの本棚を無理やり2段に重ねて上にひょろいつっかえ棒置いて規定重量以上の本を積んでる本棚くんがいます。
多分大きい地震が来れば一発で死ぬんじゃないですかね、僕。

そもそも住宅敷地面積の狭い日本において電子書籍は最早インフラです。
高々戦後60年しか経ってない現在、しかも昔は出版なんて今の何倍も規模が小さかった。
これから誰も予想できないほど国民全員が本を買って行くと、これはもう現実的に土地たらないんじゃないの?と。

電子書籍はインフラなので、いずれ移行しなければならないかなーという感じが致します。
その時重要なのは目先のデバイスの出来ではなく全体のエコシステム。
つまりKindleを信じるかKoboを信じるかでなくAmazonを信じるか楽天を信じるかという問題なのかなーとか思ったり思わなかったり。


・今電子書籍を買うべきなのかどうか
これはもの凄い難しいテーマですが、個人的には今、Kindleが始まったこのタイミングかなーと。
もちろんデバイス的にはもう数年待ったほうがいいデバイスが出るのは目に見えている。
ただその間に買った本はどうするの?
いつか電子書籍に移行した時それらは紙のまま残るか自炊するか。
もし自炊するとなるとシームレスクラウドサービスの恩恵が受けられない。
移行コストがどんどん積み重なり大きくなってしまう。
逆説的に言えば今移行しないデメリットはそれだけ。
ただ全てがクラウドストレージに保管されるようになれば、よく言われる数々の電子書籍に恩恵を受けられる。
例えば書籍を横断した全文検索とか。
ただその保証はどこにもないしとりあえず現時点では提供されてない。
結局はそれを信じるのかどうかという話しに戻ります。
信じられるエコシステムが登場した時がベストかなーと。


・総括
だらだら書いてきましたが、どうでしょう。
今見返すと愚痴ばっかりですね。
ただ個人的にはいい買い物したなという感触。
やっぱりエコシステムがちゃんとしてるのが大きいですね。
デバイスが腐っててもどうでハードなんて数年すればもっと素敵なもの出ますからね。
その買い替えの時にクラウドストレージが本当の意味で強みになる。はず。なればいいな。
そしてAmazonさんはもうちょっとマシなデバイス出してくださいお願いします。