エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために
読了。
- 作者: ドナルド・A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,上野晶子
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 単行本
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この本の前に筆者は「誰のためのデザイン?」を書いている。
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
- 作者: ドナルド・A.ノーマン,D.A.ノーマン,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1990/02
- メディア: 単行本
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「エモーショナル・デザイン」は「誰のためのデザイン?」の補足というかなんというかな位置付け。
「誰のためのデザイン?」は主に機能的なデザインを扱った本。
「ヒューマンエラーのほとんどの原因は人でなくデザインにある」を主題に扱ったので、
最近ホットな話題だと原発のお話とか。(もちろん3/11についてではなく原発のデザインについて)
そして筆者はヒューマンエラー(つまりぱっと見わかりにくいデザイン)の解決策として「テスト」を提唱した。
つまり、最初に簡単な模型を作り、対象ユーザーに使ってもらい、それをデザイナが観察し、デザインをイテレーティブに向上させていく方式。
「確かに筆者の方法の通りにやるとヒューマンエラーは減るかもね。でも多分すごくダサくなるし、多様性も無くなるよ」
そんなツッコミを受けて書いたのがこの本。
なのでこの本では直接的に「どうすれば使用者にわかりやすいデザインを設計できるか」には焦点を当てていない。
それは「誰のためのデザイン?」で1冊丸々述べているのでそちらで。
この本ではデザインを以下の3レベルに区分している。
・本能的デザイン = 外観
・行動的デザイン = 使うことの喜びと効用
・内省的デザイン = 自己イメージ,個人的満足感,思い出
つまり「誰のためのデザイン?」では主に「行動的デザイン」を中心に考えていた。
しかし、先述のツッコミにもあるように、「本能的デザイン」と「内省的デザイン」が欠如すると、
ダサくなるし、画一化してしまうし、使っていて楽しくないし、こだわりが持てなくなる。
製品を愛することができなくなる。
ちなみに後半はロボットの話に飛躍しており、アシモフのロボット三原則のお話が出ていたり。
当たり前ですが、行動的デザインよりも内省的デザインの方が抽象的なので体系化されてないです。
(誰のためのデザイン?で筆者は行動的デザインを向上するための大まかな指標を示していた。)
また、本能的デザインはそれこそデザイナの専門畑なので、僕にはさっぱりわからない。
(ただ、本能的デザインが学問として一番年数が長い気がしますし、体系化されてそうです。)
恐らく筆者が声を大にして言いたいこととしては、
「差別化や所有の喜びは本能的デザインや内省的デザインでやるべきだね。だからといって行動的デザインを疎かにしていいわけじゃない」
ということなんじゃないかなーと。
行動的デザイン、大切ですよね。
今までは手持ちのモノの中でPCが圧倒的に行動的デザインワースト1でしたが、見事スマホが追い抜いてくれました。
数インチのディスプレイをタッチでタイピングとか正気の沙汰じゃないですね。
今では美しいデザインをした文鎮に早変わりです。